(´・ω・`)まったりいこうぜ

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「転生王女と天才令嬢の魔法革命」を買いました

 原作はファンタジア文庫(ラノベ)ですが、コミック版を買いました。

seiga.nicovideo.jp

 GWにコミックのセールがあったのがいけないんです(ありがとうございます)。

 話のあらすじですが……公式の紹介を引用します。

異世界に転生し、前世の知識を活用した独自の技術「魔学」を編み出した破天荒王女アニスフィア。
魔学で作った箒のある日の飛行テスト中に、あらゆる魔法を使いこなす天才令嬢ユフィリアが、婚約破棄をされている場面に遭遇し――。
「さて行こうか、私が攫ってあげる!」
2人の出会いから始まる、次世代異世界百合ファンタジー開幕!

 いわゆる転生もの(小説家になろうが原作なので、なろう系とも言えますね)で、百合系です。また百合かよと思われそうですけど。

 まず、コミック版は絵がとてもかわいくて綺麗です。それによりアニスのデフォルメ顔やユフィのツッコミ顔が際立ちます。このギャップがとてもいい。漫画担当の南高さんの演出が光ります。

 これのコマだけで色々と察せますね。

 おっと、ストーリーについて触れていませんでした。
 あらすじにある通り、婚約破棄をされているところにアニスが飛び込み(物理)、そこでユフィを攫うところから物語はスタートします。ちなみに婚約者はアニスの弟なので、これはなかなかの修羅場です。

 そこからアニスとユフィの関係が始まります。最初はアニスがぐいぐいと迫っていくため、ユフィは引き気味です。なおアニスは王位継承を断っているどころか「私は女性を愛でたいです!」と言ったことを父親(国王)からばらされ、さらに引かれるという。こういう恋愛ものの「ひかれる」って「惹かれる」の方だと思うんですけど、この作品の場合はドン引きの方です。

1巻97ページ目。ユフィが着替えを覗かないでと釘を刺した後にこの展開である。

 

「王国一の奇人」「キテレツ王女」「最強の問題児」「魔法の使えない異端の天才」それに加えてまだまだ不名誉な肩書がある主人公のアニスですが、周りに対しての思いやりと思い切りの良さがあり、そこにユフィは心を開いていく……というのが序盤です。
 主人公とヒロインが出会い、恋に落ちる。こうして書くと恋愛ものでよくあるパターンですが、百合です。そしてアニスが肩書の通りに破天荒すぎて「これは恋愛ものなのか」とふと不安になることがありますが、たまに恋愛要素があります。主に2巻以降なので、1巻を読んでいいなと思ったら続きを買うことをお勧めします。

 恋愛と並行して進むのは、アニスが研究している魔法科学、いわゆる「魔学」です。
 転生先のこの世界では「魔法」が広く使われています。上のようにアニスはとある理由で魔法が使えません。それなのに魔法の箒で飛んでいる。魔法が使えないが魔法を使いたいために生み出したのが魔学です。
 魔法が使えない天才のアニス、魔法の才能に恵まれた天才のユフィ。この相反する二人が出会うことで、魔法と魔学は二人の関係のようにに展開していき、それが二人の関係を深くしていきます。
 魔法と魔学の違いとは。魔学を追求し、社会に貢献しているアニスがなぜ世間から「キテレツ王女」と言われるのか。魔学とは一体何なのか。二人を中心とした話を楽しみながら、この世界の理を一緒に見ていくのも面白いのではないでしょうか。

 何度も名前が出てくる、主人公のアニスとユフィのことももう少し触れておきましょう。

 主人公のアニスを端的にまとめている文が1巻の最初の1ページにあります。

『時に人を振り回し
 時に人を魅せて
 魔法の魅力と真理を追いかける
 これはそんな物語の始まり』

 上の不名誉な肩書と反対な説明ですが、どちらの評価も「その通りの人物だな」というのが3巻まで読んだ感想です。
 人を振り回すからこそ、周りは仕方ないなと飽きれながらも協力する。
 その振り回した結果が破天荒で、周りが魅了される。
 そんな人たちに囲まれながら自分の興味があることに真っすぐ一直線に追いかける。

 自分がアニスに惹かれた理由は、羨望なんだろうなと思います。
 そうありたいと思うが、そう振る舞えない。そういう意味では自分はユフィに近いのかもしれません。

 もう一人の主人公でヒロインのユフィですが、上記の通りアニスの弟であるアルガルドの婚約者「でした」。婚約破棄されてしまいましたからね。
 アルガルドに対して恋慕の情がない婚約でしたが、国のためと考え婚約者であり続けました。それが突如として婚約破棄をアルガルドから申し出られ、罵倒されます。
 個人的にとてもすごいなと思ったのが、この婚約破棄シーンが1話の半分近くである14ページに渡り続きます。この14ページでユフィの表情が徐々に変わっていく展開。心情を文字だけでなく表情と目の動きで見せたところで「あ、これ絶対面白い漫画だ」と思ったことを覚えています。
 そんな思いにふけるユフィたちの空気を文字通り横からぶち抜いていったのがアニスなんですけどね。

 アニスが芯の通った破天荒キャラであるとすれば、ユフィは迷いながらも芯を包むケーブルのストランドのような存在でしょうか。最初は折れそうなユフィをアニスが支えていましたが、徐々に支え方も変わります。

 さて百合は苦手という方もいるでしょうが、露骨に恋愛の感じはありません。少しずつ変わっていくアニスとユフィの関係も丁寧に描かれていて、特にユフィの心情の変化は注目です。
 そして二人の関係を中心としながらも、魔学についてや、婚約破棄に至った経緯、アニスがなぜ魔学を続けているのか、などの謎が少しずつ動いていきます。この話の展開がとても複雑ながらも綺麗に回って進みます。それぞれの歪んだ歯車が少しずつはまっていく物語は何度も読みたくなる魅力ですね。

 個人的に最近イチオシの漫画なので、機会があればぜひ読んでみてください。