(´・ω・`)まったりいこうぜ

まったりのんびり、色々と書いています。 http://www5.synapse.ne.jp/souki/

価格をつけるという話

 手芸部や技術部の動画を見ていると『○○円で買う』というコメントが流れているのが目に入ることがあります。自分の動画でも何度かコメントがついて「この価格じゃ赤字だぜ'`,、 ( ´∀`) '`,、」となったことがあります(YouTubeで『50円で買う』というのがあった時にはさすがに失笑しましたが)。地味に凹みました、はい。
 あまりこういう話題に触れるのはどうかと思ったのですが、少し気になったので触れてみることにしました。

大まかな分類

 よく出てくるのは「原価」と呼ばれるものです。この原価ですが「ファミレスにあるコーラの原価は○○円」という話で目にすることがあると思います。間違ってはいないのですが、正確ではありません。簿記の勉強をした方はある程度御存知かと思いますが……

 原価と呼ばれるものはいくつかあって、例えば野菜を仕入れて売るとします。この場合、仕入れた時の価格(仕入高)を原価と言うことができます。これと売価の差分が収益となります(非常に大雑把ですが)。こちらはサービス業の話になりますね。コーラの原価というのはこの仕入れ時の原価でしょう。

 ものを作って売るとなった場合にはもう少し複雑になります。わかりやすく「工場」と「本社」に分けて考えます。工場でものを製造し、製造した製品を本社が仕入れて販売する、と考えると良いでしょう。
 工場では原料を仕入れて、それを加工して製品を作ります。この製品を作るのに要した費用を「製造原価」と言います(営業などの費用は含みません。作ってませんから)。この製造原価は大きく分けると「材料費」「労務費」「経費」に分けられます。またそのものにどれだけ使ったかはっきりと分かるものを「直接材料費」(例:椅子を作る時の板の値段)、はっきりと分からないものを「完成製造費」(例:椅子を作る時に使った電動ノコギリの電気代)と言います。

具体例

 ここで自分の場合―爪楊枝でフィギュアを作る―という話をします。

 まず材料費ですが、爪楊枝があります。これは主たる構成物になるので直接材料費です。
 接着をするためには接着剤が必要です。色を塗ることを考えれば塗料も必要です。塗料を混色するためにはパレットが必要ですし、塗るためには筆が必要です。爪楊枝を削るためにはカッターを使います。カッターは何度も使えますが刃は切れ味が悪くなれば交換しますね。カッターマットも必要です。小さいものを見るためには虫眼鏡も欲しいところです。まとめてしまいましたが、これらが製造間接費となります。
 作業をする時には暗いと目が悪くなりますから、電気が欲しいですね。塗料の希釈のためには水が必要です。こうしたものは水道光熱費、つまり経費です。
 もし自分が爪楊枝を売る場合、自分の給与も欲しいですし、もし分業をするとなれば他の人の給与も考えないといけません。これが労務費となります。

 大まかですが「製造原価」というものを分類することができます。「爪楊枝は原価が安いんだから」とおっしゃっている方は大体が直接材料費だけを指しています。

 ここからちょっと仮定ですが、具体的な金額を出して見ましょう。

・爪楊枝
 450本入り200円。面倒なので1本0.5円としましょう。今回は2本使います。
・接着剤
 400円。はっきりと分量を測ることができません。50個作って1本切れたので、それを基準とします。
・塗料
 300円。こちらもはっきりとわかりません。50個作ってまだ半分ぐらい残っているので、100個は作れるとしましょう。10色使いました。
・カッター
 800円。4年経ちましたが未だに使えます。10年持つとしましょう。1年に10作品作れば良い方です、はい。
・カッターの刃
 20枚入り200円。1個作るのに2枚ぐらい使います。
水道光熱費
 わからん(´・ω・`) 5000円/月なので、1日作業に使ったとしましょう。
・おちんぎん
 せめて時給1000円ください。8時間やりました。

 とかなります。ざっと計算をして8226円程度です。色々と加味して8500円としましょうか。

まとめ

 高いと思うでしょうが、月に1つと考えた場合ですからね。高くなるとは思います。また労務費が高いだろうと思うでしょうが、そんなものです。人件費は高いと思いますよ。だから人を少なくしたいんです、企業は。。
 工場で大量生産をした場合安くなるのは、材料の一括購入による割戻しもあります。それと機械による自動化をすることで人件費を削ることができるというのもあります。自分のように手作業で作る、となった場合は大量生産もできないし、一人で作るしかないので時間がかかる。
 高くなる理由を少しでも分かって頂けるでしょうか……

 オーダーメイドや一品物を手作業は工場で大量生産するものとは違うんだよーということと、作ったものを売るとなった場合、どれだけの手間と労力がかかっているのか。そういうのをざっとでも良いので考えて頂ければと思います。
 どちらかというと、材料費なんかよりも労務費とか経費の方が高くなりますね。労務費とか……と言われる方は間接的に『ただで働けよ』と言っているので自覚してください、お願いします。

 今回は爪楊枝で作るという結構特殊な話でしたが、イラスト等、何を作ると考えた場合も同様だと思います。PCとかタブレットは備品ですし、知識を得るために買った本やソフトは経費でしょう。作るというのは時間もかかりますし、金もかかるんですよ。『絵を描いてよー』と言う時にはそういうこともちょっと頭の片隅から引っ張りだしてください。

 別に金をよこせ、というつもりはありませんので。原価が安いんだから、という人は原価って何かちょっと考えてねーというお話でした(´・ω・`)

余談

 いやー、計算とか色々と考えたら疲れたw
 こういう堅苦しい話をするのは苦手なのですが、少し気になっていたので書いてみました。簿記の知識については乏しいので間違っている部分もあるかと思いますし、正確ではないところもあるとは思います。どちらかといえばそうした知識が無い人に少しでも分かってもらえることを優先しました。
 改めて計算をすると高いですねー。自分だったら多分買いませんねー。だって自分で作れるので買う必要性はありませんもんw ものを売る、買うというのはそうした需要と供給のバランスなんだろうなーと。