こういう甘々な話、大好物なので、買ってよかったです。何度も読んでいるぐらいです。
あらすじ
高校を卒業したてのギャル・しいなは
突然こんな言葉を鎚起銅器職人の彼氏・修(しゅう)に投げかけられた。「結婚しないか――?」
血痕? いやいや、結婚です。
超うれしいけど、彼の家は職人一家!?!?
仕事とか歴史とかよくわからないけど、
大好きな彼のためにうまくやります! やってみせます!
というところからスタートします。お付き合いするところからではなく、婚約するところから始まるストーリーが新鮮です。
しいなと修の年齢差4歳ほど。大学生のギャル(そしてちょっと子供っぽい)のしいなと、年上の妖怪銅叩きと揶揄されるぐらいの銅器一筋の職人の修(しゅう)の凸凹コンビが主人公です。
それぞれの時間と一緒の時間が丁寧に描かれて進んでいきます。この時間経過が、焦らず、ゆっくりと、でもちゃんと進んでいるって感じがあっていいんですよね。
みどころ
冒頭で婚約という大きな転換点があるため、それ以降に大きい変化があるのかなぁ、なんて思うでしょうか……あります。ありすぎて書けないぐらい。
ただ、しいながギャルでなくなったり、修が「職人辞める」と言い出したり、二人が婚約解消します、なんて流れではないのでご安心を(読んでいる3巻までですが)。
徐々に関係が変わっていくのですが、その変わり方がとても自然というか「二人だったらこうするだろうな」と思える流れになっています。変わるきっかけなんていうのはちょっとしたことなのでしょう。
修は「妖怪銅叩き」と言われるぐらいの朴念仁で職人気質な感じですが、しいなに連れられて出かけた先、祖父からまかされた仕事で次第に朴念仁から人間に、職人気質にも変化が出てきます。
しいなはギャルっぽさも子供っぽさも変わらずですが、それ以上に修への愛情を理由に徐々にただの婚約者から職人の花嫁、という風に変わっていきます。変わらない可愛さを持ちながら、変わっていくことを怖がりながら、それでも変わっていく道を選ぶというのはしいならしい選択だなと思います。
その二人を見守る修の祖父母、友人たちもまた魅力的です。修は両親を早くに亡くしていることから祖父母に育てられました。一方でしいなは未だに家族のことは出ていませんが、友人たちに囲まれて学生生活をエンジョイしています。二人がべったりではなく、それぞれで友人関係などができている部分が修としいなの関係を引き立たせているように感じます。
そしてこの作品を読んで避けられないのは「舞台となる新潟に行きたくなる」ことでしょう。
新潟に行きたいけど、遠い
舞台はあらすじで書いたように新潟県の燕三条地区です。二人のデートや日常で燕三条地区が何度も出てきます。
作中で観光する(仕事もしてる)様子を見ていると「新潟、行ってみたいな」とどんどん思うようになります。Googleマップにピンがどんどん増えていきます……。取材をしながら、新潟の魅力を伝えたいという気持ちが本当に伝ってきます。
観光もなのですが、飯テロがひどい!美味しいものが紹介されるのですが、これが本当に美味しそうなんです……。修が食べている様子は特にダメージは受けませんが、しいなの食べている様子が本当に美味しそうなんです。
見て、この幸せそうな顔。
食べるだけでなく、何かあるたびに嬉しそうにするしいなを見ると「行ってみたい」という気持ちが膨らんできます。絶対においしいでしょ、これ……。
たまにある修のリベンジがアクセント
基本的には、しいながぐいぐいと修に迫ります。年下ですけど、無邪気だからこその攻めですね。まだしいなが大学生なので手を出さないと決めている修ですが、時々攻勢になります。
この後に照れるしいなの表情よ。最高か。二人で徐々に、少しずつ、二人のベースで進んでいく様子が良いですね。恋愛ものでよくある、第三者が出てきてぎくしゃく、というシーンがないので、安心して二人を見守っています。
「安心して」という点は自分の中でとても大事でして。恋愛もので邪魔が入ると「あああああ」となるんですよ。自分は二人の様子をニコニコとして見ていたいタイプなので。そういう意味ではクプルムの花嫁は自分にとってジャストフィットでした。ありがとうございます(拝みながら)
ということで
個人的には恋愛ものは好きなのですが、こうしたゆったりとした、実際に行きたくなるという漫画は楽しくて良いですね。幸せになりますし、何度読んでも気持ちが良いです。
最後ですが、タイトルになっている「クプルム」は銅を意味するラテン語の「cuprum」です。元素記号のCuの由来ですね。
まだまだ婚約状態の二人ですが、いつかしいなが花嫁になる日は来るのでしょうか。
2022年10月10日 追記
ブログがきっかけでフォロワーさんがはまって、聖地巡礼までしてくれました\( 'ω')/